数の子

財布に数の子を入れて持ち歩くようにしている。

お家の冷蔵庫には数の子をたくさん備蓄している。

冷蔵庫の中には石川県の能登半島の地図が置いてある。

数の子をできるだけ細かく分解して、能登半島の地図の上に大事に置いていくのである。

能登半島にあるガソリンスタンドを探してそこに丁寧に置いていくのが自分の使命なのである。

朝に1回、夜に1回、数の子を能登半島のガソリンスタンドの上に添えていく。

昼はと言うと、信じられない程ビールを飲んでいる。

信じられない程とはどれほどかと言うと、ビールを初めて飲みだした頃の自分では信じられない程である。

自分が飼っているハムスターは自分の内臓脂肪だけ緑に光って見えていると信じているためだ。

ハムスターの名前は「春キャベツ」だ。

内臓脂肪の緑の光と、春キャベツの緑が呼応するのである。

脳内のイメージとしては、内臓脂肪の緑の光の方が色が濃ゆい。

春キャベツとの2人暮らし。

春キャベツは、数の子を持ち歩く私を見ては、「満足するまでしてみては?」といった表情でいつも見ている。

満足する日が来るかは分からないが、今日も私は数の子を財布に入れて持ち歩く。

ちなみに、私は数の子の味や食感が好きなのではなく、近い未来に数の子が人類の不変定数になると信じているからである。

不変定数と書いてはみたが、意味は分かっていない。

つづく…。

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